乾燥・発酵を多用する日本の食文化は、先人の知恵。
以前、こんな記事を書きました。
モンキヘッドマッシュルームで作るスープ。
その記事の英語版を読んでいただいた人から、やや長めのコメントをいただいたのですが、読むと「頭にいい」とか本題に関することでなくて、「何年か前の食品を使った」という点に、何か不満があったようです。
その方に「通常であれば、私は数年前の食品は食べないが、今回の乾物なので、それぐらいだったら数年間過ぎたものでも使えるんですよ」という旨の返信をしたのですが、「私には理解できない」というお言葉をいただき、どうも食風土が違うと、前提の考え方に大きな壁があるということを感じました。
日本の保存食文化
日本は、そういう意味では、保存食が多い。
- 乾燥した食品
昆布、干し椎茸、魚の干物、乾燥豆、切り干し大根、干瓢、高野豆腐、凍み餅・・・ - 発酵食品
味噌、醤油、鰹節、日本酒、焼酎・・・
乾燥・発酵することで、保存ができるようになるだけでなく、旨味成分なども増えるという効果もあり、一石二鳥。日本が誇る、先人の知恵です。
狩猟民族と農耕民族の食文化の違い
さきほどの、私の記事にコメントに書いていただいた人、プロフィール・顔写真を拝見すると、こんな人かなぁと、独断で想像。
- アメリカの片田舎に住む60−70代の御婦人
- あまり料理はしない。「みんな、夕ご飯よ」と家族を呼んでテーブルにあるのは、アメリカ定番の「TVディナー」を電子レンジで温めたもの
- アメリカの文化が唯一の世界の文化と思っている
アメリカにも、ビーフジャーキなどの干し肉、乾燥豆とか保存に適した乾燥食品があることはあるが、それらを日常的にアメリカの一般家庭で食しているとは、想像しにくい。
アメリカの家庭の食事のイメージ、「TVディナー」。これはこれで、誰でも効率的に料理を食べれるという意味では、技術力・産業力が必要なもので、すごいことだと思う。しかし、家庭から料理をすることを奪い、その他栄養面とか、いろいろな功罪があると思う。
アメリカは、エスキモーやインディアンなどの先住民族を除いて、ほとんどは狩猟民族のアングロサクソン族に端を発するから、食べるものがなければ、動物を狩ればいいという生活で、食べ物を保存するという食文化が生まれにくかったという風土の違いが大きいと思う。
一方の日本などのアジアでは農耕民族が多く、農作物を植え、育て、それを保存することで、長い期間食べれるようにしたという風土になった。また、アジア特有の高湿度気候が、発酵菌や麹などが生育しやすく、その後の発酵文化につながる。
世界の食の一つとなっている、インスタント麺も、日本が発祥。1958年8月、日清食品の創業者安藤百福が、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発明。その後のカップヌードルに発展し、今や世界で食される食品。これも、日本の乾燥食の風土があったから出てきた可能性が大きい。
自分が生まれ育った日本は、食文化に恵まれていたんだなぁと、今回のコメントのやりとりを見て、つくづく感じました。
世界各地の発酵食品
世界各地の発酵食品を簡単にまとめたページを発見して、そこから抜粋すると、こんな感じでした。
- ドイツの発酵食品「ザワークラウト」
- ポルトガルの発酵食品「マッサ」
- イタリアの発酵食品「アンチョビ」/「バルサミコ酢」
- スウェーデンの発酵食品「シュールストレミング」
- イギリスの発酵食品「マーマイト」
- オーストラリアの発酵食品「ベジマイト」
- マダガスカルの発酵食品「バニラビーンズ」
- コートジボワールの発酵食品「カカオ豆」
- エチオピアの発酵食品「インジェラ」
- 南アフリカ共和国の発酵食品「ルイボスティー」
- アジアの発酵食品「ナタデココ」
- インドネシアの発酵食品「テンペ」/「コピ・ルアク」
- タイの発酵食品「ナンプラー」
- ベトナムの発酵食品「ヌクマム」
- 中国・台湾の発酵食品「臭豆腐」/「腐乳」
- 韓国の発酵食品「キムチ」/「ホンオフェ」
- カナダの発酵食品「キビヤック」
上記以外には、「チーズ」がある。こうしてみると、アメリカに発酵食品がないんだなぁと思う。腸内環境が悪そうだ。
あ、アメリカにも発酵食品あった。ワインやビールがそうだ。